【短編集】フルーツ★バスケット
ベツレヘムの星
車に乗って、暫くしてからさっきとは別人のように話をしてくれた。
運転中は顔見ないで話せるから、だって。
神楽はこう見えても美容師の資格持っている。
だから、あんなにも手際よくメイクをしてくれたみたい。
あたしは、モデルには程遠いし、彼女なんかでもない。
どうして、あたしに構うんだろ?
「あんなところで死にそうにしてた奴、放っておけるかよ!!
家まで届けようと住所を聞けば、知らないとかなんとか言うし」
あたし、最低だね。
酔っ払いの上に迷惑まで掛けてたんだ。
「……ごめん」
「今更何言ってんだよ。
跳ねっ返りのアンタだから、面白いんじゃん」
…………。
それって、喜んでいいのかな?
誉められているようには聞こえない。
だけど、嫌じゃない。
「着いたぞ」
駐車場らしきところに車を置いた途端、また機嫌が悪くなった。
「神楽って、面白いね」
「ぁあ?」