【短編集】フルーツ★バスケット

ベツレヘムの星


車に乗って、暫くしてからさっきとは別人のように話をしてくれた。

運転中は顔見ないで話せるから、だって。

神楽はこう見えても美容師の資格持っている。

だから、あんなにも手際よくメイクをしてくれたみたい。

あたしは、モデルには程遠いし、彼女なんかでもない。

どうして、あたしに構うんだろ?


「あんなところで死にそうにしてた奴、放っておけるかよ!!
 家まで届けようと住所を聞けば、知らないとかなんとか言うし」
あたし、最低だね。
酔っ払いの上に迷惑まで掛けてたんだ。


「……ごめん」

「今更何言ってんだよ。
 跳ねっ返りのアンタだから、面白いんじゃん」

…………。

それって、喜んでいいのかな?

誉められているようには聞こえない。

だけど、嫌じゃない。


「着いたぞ」

駐車場らしきところに車を置いた途端、また機嫌が悪くなった。


「神楽って、面白いね」

「ぁあ?」



< 123 / 157 >

この作品をシェア

pagetop