【短編集】フルーツ★バスケット
……ぅわあ。
目の前には、民家と同じくらいの高さのある大きなクリスマスツリー。
まだ、電気は灯されていない。
──あれ?
飾り付けもバッチリされて、どう見てもクリスマスツリー以外には見えない。
でも、何か違和感がある。
「今年は当たるといいな」
「何が?」
「何でもねぇ」
変なの。
広場には、
ソワソワ、と心を踊らせた顔の人たちでいっぱい。
素敵な事が起こりそうな予感に、あたしの胸も高鳴ってきた。
「ま、お楽しみは一番最後まで取っておくものだからな。
行くぞ」
「えっ、ちょっ……」
あぁ、あ。
もう少しツリー見たかったのにな。
何か考えているなら、言ってくれたらいいのに、相変わらすムッツリと黙ったまま。
朝から振り回されっぱなし。
訳わかんないよ。