【短編集】フルーツ★バスケット
楕円形の大きな丸い物の上に藺草(いぐさ)が敷き詰められ
ガッチリ、と太い木の枠に囲まれていた。
『取り扱い注意!!』
一番上に被せてある蓋に、ご丁寧に太いマジックで書かれている。
「ほ、ホントに珍しいものが扱われているお店ねぇ
ホホホホ」
ギョッ、としながらも笑顔で返すオバチャン。
「ウフフ
実は、スイカなんですよ。
ちょっとイビツだったもので遊んじゃいました」
「あぁ、ビックリしたよ。
ホント、古代からやって来たのかと思ったよ」
「驚かせてごめんなさい。
今日のイチオシは、トマトとゴーヤです」
「それじゃ、トマトをもらうよ」
「ありがとうございます」
農家の人が、丹誠込めた物に味と品質を求める彼女にとって、形が変わっている物程喜んだ。
その方が客受けをするからである。
顔に似合わず、イタズラ好き。
そう、これが彼女の名物ってわけ。
しかし、
葉子は知らなかった。
このスイカがラグビー型をしていた、本当の意味を。