【短編集】フルーツ★バスケット
夏のバトル
ピョンピョン、と跳ね回りながら逃げる箱は暑さを知らない。
祐希は、バスケで鍛えた足があるとはいえ、夏の暑さには、かなり弱い。
それでも、汗を拭いながら必死に追いかけた。
何処までも
何処までも。
祐希は、とうとう浜辺まで追いかけてきた。
箱の中の物体も動きが止まった。
沢山暴れたせいなのか、檻の柵の一部分が外れた。
見るからにスイカ。
祐希は、いつものように甘さを調べるように
コンコン、と軽く叩いた。
「やっぱ、美味そうな音するな」
『食べないで』
微かに聞こえた声に、辺りを見回すも誰もいない。