【短編集】フルーツ★バスケット
そんな事よりも、この目の前にいる物体を早く取っ捕まえなくては。
もう、他の事には目もくれない祐希であった。
「フフフッ。
スイカのくせに俺から逃げ回るなんて、100年早ぇんだよ」
ジリジリ、と詰め寄り手近に落ちていた木の棒を振りかざした。
スイカもどき割りを始めた祐希。
『スイカなんかと一緒にしないでぇぇぇぇ!!』
それ察した不思議な物体も、檻から飛び出し、今度は転がり始めた。
砂に足を取られ、思うように動けないものの、執念だけで追いかけている。
コロコロ
コロコロ
転がるスイカちゃんは、涼しげな海の中を泳ぎ始めた。
祐希も負けずと、着ていたTシャツを脱ぎ捨て、追いかけた。
果たして、いつまで追いかけっこは続くものなのか。