【短編集】フルーツ★バスケット
「……だから、何べん言ったら直るんだよ!!
もっと、オブラートに優しく!!」
「すみません」
相変わらず、廉くんは怒鳴りっぱなしで。
「いやぁ、君の教え方も、もう少しオブラートにしたほうがいいよな」
「愛の鞭は恐ろしいな」
そんな様子を後ろから愉しそうにみている蒼くん、郡司くん。
あたしは、唯、必死にキーボードを叩いて。
でも、怒られて……。
そんな毎日の繰り返し。
受験勉強も頑張ってるよ。
練習の合間に蒼くんが教えてくれるの。
学校や塾の先生よりもポイントを抑えて、丁寧に。
だから、この間までは、色々な事を両立させるのに精神的にキツかった、なんて嘘みたいに。
今は何もかもが楽しいんだ。
ママも、あたしの生活のリズムが安定して、成績も落とさないでいたら、ご機嫌でいてくれるし。
あたし、GRAPEに出逢えて、本当に幸せだよ。