【短編集】フルーツ★バスケット
酸っぱいね
「はい、蒼くん」
「ありがとう」
「郡司くん」
「サンキュ」
えへっ。
義理とわかっていても、お礼言われると、やっぱり嬉しいね。
ファンの子達から沢山のチョコを贈られてくるのは知っている。
けど、
それはそれ。
あたしだって、彼らを、GRAPEを応援しているんだから。
それに、今はメンバーの一員でもある。
(休止状態だけどね。)
いつも迷惑掛けっぱなしだもの。
今日くらい、感謝の気持ちを込めて世の中のイベントに便乗するのも、いいよね。
それにしても、何処行ったんだろう。
いつもなら、真っ先に飛び付きそうなのに。
「ねえ、廉くんは?」
「やっぱり、アイツが本命?」
「そういうわけじゃ…」
「別に隠さなくていいさ。
オレ達は僻んだりしないからな」
郡司くんに、痛いところを憑かれ顔の赤さが上昇していくのが、自分でも何となく分かる。