【短編集】フルーツ★バスケット
「ところで、結花ちゃんはいつくらいから活動できそう?」
蒼くんのパスで再び空気が和らいだ。
「うん。
明日からまた参加できるよ」
「大学は受かったの?」
「合格発表は未だだよ
でも、手応えはあったよ」
これも、みんなが勉強のコツを教えてくれたからなんだよ。
本当に、ありがとう。
「よし!
今日は結花ちゃんの合格祝賀会でもやるか」
「あの、まだ──」
「気が早いっすね」
あ、廉くん居た。
「次のライブ、交渉決まりましたよ」
「いつだ?」
「3月7日」
あ、その日は卒業式だ。
学校終わって直ぐなら会場に足を運べばチューニングに間に合うよね。
「おい、お前は辞退しろよな!」
──えっ!?
何でよ!!
「何言ってんだよ、活動再開宣言してくれたんだぞ」
「そうだよ。
これから、やっと一緒にやっていくって決めたばかりじゃないか」
「だからだ。
俺たちはプロを目指しているんだ。
生半可なサークル気分でいられちゃ迷惑なんだ」
「廉!
今のは言い過ぎだ。
結花ちゃんに謝れ」
廉くんは、謝るどころか、あたしを一睨みして、部屋を出ていった。