【短編集】フルーツ★バスケット
体育館裏に建てられた小さな講堂。
集会がある時だけは、此処も熱気に包まれる。
それ以外は、此処に入ってくる生徒はほとんどいない。
だから、一人になりたい時のあたしには格好場所だった。
そして、この講堂に置かれた古いオルガンを奏でらることも楽しみの一つだった。
教室の隅にある小さなオルガンとは違って、音色が全然違うの。
優しくて、心に沁み渡る感じ。
もちろん、先生の許可はちゃんともらってたよ。
今日はまだ許可は得ていないけど、いいよね?
誰もいない講堂に、淡いメロディがゆっくりと流れ始めた。