【短編集】フルーツ★バスケット
不敵に笑いながら5対3で睨み合いが始まった。
やだ。
こんなところで闘争なんて──
──
───
────
だけど、
いつになってもこぶしがぶつかり合う音は聞こえない。
代わりに鳴ったのは
カチッ カチッ カチッ カチッ
スティック?
ギュッ、と閉じていた瞳をそっと開けると、二組のドラマー、郡司くんと坊主頭が互いにリズムをとっていた。
ドラムはブラックエンジェルの人が使っているものひとつ。
だけど、重なる音はいくつも聞こえる。
あたしのよく知っている元気の出るリズム。
あたしの知らない、激しく怒り狂ったようなリズム。
二組が今、バトルしているのは音楽バトル。
観客はあたしだけ。
ううん。
公園の向こうを散歩しているおじさん、
ベビーカーを押しているお母さんたちも、
首だけはこっちに向けてきている。
あっという間に公園がバトルステージへと変わっていった。
──凄い!!
あたしは、唯々、引き込まれるように二組を見入ることしかできなかった。