【短編集】フルーツ★バスケット

突然に


 あたし、三浦 柚希。
 高校2年生、17歳。

 冬休みに社会勉強として、家政婦協会に申し込みをしてみた。

 早速、返事が来たので、同封された地図を片手にやってきた。

 派遣されたところは、あるお屋敷。

「……嘘でしょ!?」

 でも、それが嘘でも何でもない証拠に、地図に記された番地は偽りもなく、今あたしがいる場所と一致している。
 
 ここは、この街に住んでいる人なら誰もが知っている鳳家。

 何かの間違い……だよね。

 出来たら、間違いであって欲しいと思いながら、家政婦協会に確認の電話を入れようと携帯電話を取り出した途端に──

 プルルルw

 突然音が鳴り出し手にした携帯を落としそうになった。

『まだ着かないのかい。
 先方さん、お待ちかねだよ』

「あ、あの鳳家の前にいるんですけど…」

『あぁ、ちゃんと着いたんだね。
 それじゃ、後は頼んだよ』

 ─ ツーツーツー

 ……切れてるし。
 間違いじゃ、ないんだね。

 行くしかないね。

 意を決し大きな門に手をかけた。



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