【短編集】フルーツ★バスケット
訳の分からないまま、2週間住み込みで働く事が決まった。
日中だけならともかく、夜も自由がないのは痛いね。
あぁあ、美保やアッコになんて言い訳しよう。
ブチブチ文句を言っても、始まらない。
兎に角、これは社会勉強なんだから!
少しでもお役に立てられるように頑張るしかないね。
あたしの意気込みを笑顔で受け入れてくれたのは、大先輩の大竹 初音さん。
通称、『お初さん』から、色々教わった。
言葉遣い、屋敷の事、掃除の仕方から洗濯物の畳み方等々。
年は、……お母さんよりも上かな?
だけど、一番機敏な行動力を持っている。
そして、誰からも信頼を受けている。
「鈍くさいね。
うちらの仕事は、1分1秒だって無駄に出来ないんだからね!」
毎日、お小言を言いながらもミスをした時には、真っ先に庇ってくれる。
お母さんにだって、反抗ばかりだったけど、お初さんには素直に従えちゃうんだよね。