【短編集】フルーツ★バスケット
業務に慣れないまま、三日と過ぎていったある日。
「旦那様がお呼びだよ。
アンタ、今度は何したんだい?」
何、って聞かれても困る。
……心当りが有りすぎる。
ドキドキ、と手を胸にあてながら旦那様のいる書斎へと向かった。
──コンコン
いらっしゃらないのかな。
「あれ?
三浦じゃん。こんなところで何してんだ?」
──えっ!?
あたし、この家に知り合いなんていない。
そう思いながら振り返った。
それは、予想していなかった人物。
あたしが良く知っているクラスメイト。
「あ、この家にお手伝い……かな?
結城こそ何してんの?」
「何って、此処俺ん家だけど?」
──はぁ?
こんな見え見えの嘘つかなくたっていいじゃない。
此処は、資産家の豪邸“鳳様”の家なのよ!
それに、一度だってこの屋敷内ですれ違ったことすらないんだよ。
こんないい加減な奴は放っておいて、暫く廊下の壁に沿って旦那様を待つことにした。