【短編集】フルーツ★バスケット
誰の者?
「──聞いてねぇぞ!!」
私も聞いてないよ。
「だから、今言ったではないか。
大事な話をする、と」
大事なって、そういう事はもっと順を追って……。
「旦那様、ご冗談にも度が過ぎます」
「俺は、何時だって本気だけど?
それに、柚希君とは、もう契約済みのはずだよ」
あっ!!
あの時『契約成立』って言ってた?
何も答えられず、黙って下を向くことしか出来なかった。
「三浦?」
結城が心配そうに声をかけてきてくれた。
ありがと。
いまは旨く笑えないや。
「こんな、セクハラ親父の言う事なんかマトモに聞くな。
行くぞ!!」
あたしの腕を強引に引っ張り、書斎から飛び出した。