【短編集】フルーツ★バスケット
選択肢
もう!!
この屋敷の人達はどうしてこう勝手な奴らばかりなの!?
あと、10日も勤務が残っていると思うと溜め息しか出てこない。
突然迫られた二つの選択にあたしは、どう答えを出したらいいのか分からないでいた。
「若いね。
ユズは、どうしたいのさ」
「分からないよ。
だから、お初さんなら何か良い考えがあると思ってきたのよ?」
「私なら、両方取るね。
どちらかを選べば、片方が不幸になるからね」
そんな器用な事、出来ないよ。
確かに、あたしがどちらかを選んだとしても、今まで通り“三浦柚希”として学校に通える事は保証されている。
問題は
そんな事じゃなくて──
「誰を選ぶか、誰も選ばないか、両方取るかは、アンタの自由さ。
だけどね、私は中途半端な気持ちで仕事されるほうが嫌だからね。」
ごもっともな意見に頷くしか出来なかった。
そうだよね。
あたし、社会勉強に来たんだもの。
恋愛しにきたんじゃない。
よし!!
「お初さん、ありがとうございます。
あたし、決めました」
「期待してるよ」
お初さんの言葉に第3の選択肢がある事は、未だ知らない。