【短編集】フルーツ★バスケット
──はぁ。
本当にどうしたら良いんだろう。
あたし、何も認めていないのに周りの空気が加速している。
気晴らしに屋上に設置されたガーデンに行くと、既に先客がいた。
──何でいるの?
「俺に惚れたか?」
「バカ言わないで!!」
「会いに来たんだろ?」
この状況で違うと言っても絶対信じてくれないよね。
「ま、焦らなくても学校でまた会えるしな。」
結城と会うなら学校には行きたくない。
そんな事、ママに言ったら勘当もの、だよね。
うーん……。
「学校、行かなきゃ駄目?」
「んだよ!!
そんなに親父に恋してんのか!?」
「違うよ」
──多分。
「だったら、俺と付き合ったっていいだろ?」
「それも、無理」
「ちぇっ。
即答しなくてもいいのに」
「……ごめん」
「やけに素直だな」
本当にどうしたんだろう。
コイツに素直に返事している自分が気持ち悪い。
「オレ、お前の事本気だから。
例え、手に届かなくても絶対に守るから。
忘れんなよな!!」
「結城はいつから、あたしの事想ってくれていたの?」
「──さぁな」
ずっと気になっていた疑問をやっと口にしたのに、返ってきた返事は素っ気なすぎる。
ちょっとでも、結城を理解しようとしたあたしが間違っていたかな。
「邪魔して悪かったね」
なんだか悲しかった。
あたしは、込み上げてくる涙を必死にこらえながら、ガーデンを後にし元来た道を辿った。