【短編集】フルーツ★バスケット

 ジュンの提案で、再度、チャットの中で会う相手を間違えないようにって。

 
《うん。**********》

 記憶を頼りに文字を打ち込んだ。

《正解。》

 毎日このサイトに来ているのかと思いきや


《何となく今日辺り会えそうな気がしたんだ》

 ……なんとなく。
 凄い勘だね。


《俺もビックリ
 まさか本当に今日来るとは思わなかったし》

 そうだよね。

“何時か解らない”
 とか
“気が向いたらね”

 なんて、社交事例もいいところだもね。


《今日はどうしたいの?》
えっ!?
 どうって……。
 何も考えてなかった

 ただ、話したいな、って思っただけで……。

《じゃぁ、またする?》

 また?
 文字とはいえ、また犯されるのは嫌。

 今の気持ちを正直に、文字で綴ったら、納得してくれた。

 良かった。


《今日も仕事?》

《うん。
 だけど、身が入らないんだよね》

《どうしたの?
 具合悪いの?》

 ダメだ
 この人に嘘はつけない。
 白状します!!


《……その
 ずっと、ジュンの事が気になってた。
 可笑しいよね?
 数時間文字で話しただけなのに》

《そんな事無いよ
 俺も彩香の事が頭から離れられなかったし》

 って結婚してる人が言う言葉?

 あっ、私も同じだね。

 たった一夜のチャットでお互い頭が変になっているみたい。



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