【短編集】フルーツ★バスケット
《今、どんな格好?》
《藤色のブラウスに茶色のスカート》
《こんな時間なのに未だお風呂入ってないの?》
言われて改めてそれに気づいた。
もう1:00をとっくに過ぎてる。
いつもなら、とっくに布団の中に入る頃。
《俺もこれからなんだ
じゃ、一緒にお風呂は入ろっか?》
互いに状況を想像しながら文字を並べている。
一昨日と同じ事をしているのに、この間のような怖さは無く、彼に身を委ねられる。
それは、文字に優しさが見えるせいなのか。
解らないけど、なんか不思議。
もちろん実際に一緒にお風呂に入るわけではないのだけれど、
まるで、今この場で背中を流してもらっている気分。
今子供が目を覚ましませんように。
ふっ、と現実感が頭の中に過ぎった。
けれど、もう少しこのままの時間を過ごしたい。
楽しい。
どのくらい時間話していたのか、
会話も途切れ途切れになってきた。
この間合いに眠気がやってきた。
《もう2時だもんね
ごめんね
あまり話せなかったね》
《そんな事ないよ
楽しかったし》
《それなら良かった
怖さだけを植え付けてたら、バチあたりだからね
俺も仕事に戻るわ》
気にしてくれていたんだ。
これから、仕事だなんて、気の毒と思いながらも、また会う約束をして別れた。
布団に潜りながらジュンとのチャットを思い出す。
この間はあんなに怖い思いしたのに、今日は心地良い。
あれは、やっぱり演技だったのかもしれない。
そんな事を思いながら瞼が重なりあって、久々にグッスリ眠る事が出来た。