【短編集】フルーツ★バスケット

 桃ははまだ、離乳食が始まったばかり

 買ってきたコロッケのお芋の部分だけ潰して、二人っきりで簡単に夕飯を済ませる

 えっ!?
 旦那様のはって?

 いーの、いーの。

だって、帰りが夜の9時を過ぎるんだもの。

 そこまで待ってられないよ。

 漸く落ち着いたところで、仕事でもしようと、パソコンを立ち上げた。

 カキコ カキコ カキコ

 うん、今日も順調、順調。

 カチャ

 静かに玄関のドアが開く音がしたので、とりあえずパソコンをスリープに。


「お帰りなさいませ」

 パパに何故こんな言い方かって?

 まぁ、波風立てないようにしないとね。

 私が大人しくしてれば、怒られる事もないしね。

 急いでお湯沸かして、夕飯の支度を始めた。





 それから無言の時間が続く。

 苦痛だよ~。

 真夜中に楽しい時を体験してしまったから尚更かな。

 そんなに苦痛なら離婚を考えたら?

 うーん、確かにそうなんだけどね。

 勇気がないというか、面倒臭いというか、

 まぁ、暴力とかあるわけじゃないからね。

 実家に頼れないし……。
 だから頑張ってみるの。

 今はこんな状態だけど、結婚当初はそれなりに会話もあったんだよ。

 2人で旅行だってしてきた。

 なのに……。

 pm23:07

 パパは床に就いたから、あたしだけの時間の始まり。

 今日最後の家事の片付けて、再び開くパソコン。

 とにかく数をこなさなくちゃ、次の仕事に繋がらないからね。





 ちょっと休憩しようっと
 久しぶりに裏チャットサイトを開いた。
 
やっぱり、そう毎回も会えるわけないかな。

 私が探している掲示文句は

【貴女の時間の許す限りゆっくり話しませんか?】

 だけど
 その文字は見当たらない。

 代わりに見付けたのは

 ん?

【あやか待ち】

 まさかね。



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