年下くんは雨が好き


本当にキスしちゃうんじゃないか
ってくらいに近くなった顔が
だんだん離れて距離が出来た。


悠磨くんは立ち上がって
アタシの腕を掴んで立たせてくれた。



「…悠磨くん?」



「雨が止みそうだから帰る」



悠磨くんはスクール鞄と
学ランを持って部屋を出て行った。





「…雨?」


どういう事だろう…



ベランダに出て空を眺めるが
雨は相変わらずザーザーと降っている。




止む気配なんてないのに…




そう思っていたのに雨は
次第にポツポツと降るようになり、
しまいには、止んでしまった。



本当に止んだ…




部屋に戻ると悠磨くんがいた証拠は
少なくて本当にいたのかさえ疑う。




だけど、ソファーの横に
悠磨くんの生徒手帳が落ちていた。

それだけで悠磨くんが此処に
いた事が確信へと変わるんだ…



何となくテレビを付けると
夜の8時前の天気予報をやっていた。




どうやら明日は晴れらしい…



悠磨くんに生徒手帳を
返さないといけないな。



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