年下くんは雨が好き
アタシの不安は解消されたけど
アタシのアパートに着くまで
やっぱり悠磨くんは無言のままだった。
「本当に今日はごめんなさい」
アタシは深々と頭を下げた。
「…うん」
う゛ぅ…
やっぱり迷惑な気持ちは
多少あったって思ってた方がイイな。
「悠磨くん、家に帰るの?」
「…今からバイト」
え!?じゃあわざわざアタシを
送らせて遠回りになっちゃったよね!!
「ゴメンね、わざわざ
アタシを送る感じになっちゃって…」
「別に、バイト入る時間まだだし…」
悠磨くんはアタシに背を向けて
駅前の方向に歩き始めた。
「ぁ‥ありがとー!!!!」
お礼は言っておきたかった。
悠磨くんは立ち止まって振り返り…
「…風邪ひくなよ」
と、また歩き出した。
雨の中傘をさした悠磨くんは
だんだん小さく遠くなって行った。