舞い誇る華
 


その言葉とどこか辛そうに微笑む鈴姫を見て 心配になり鈴蘭は口を開こうとしたが瑠璃によってそれは阻まれた。



「それでは 瑠璃も〝桜″様と呼ばせていただきますわ
…それで 鈴姫様
桜様 の事なんですけれど、」



「ええ、その事なんですけれど
聞いたところによると 桜は友を探しているとか…
なら ここを拠点として探すと言うのは如何でしょう」



「えっ?鈴姫…様?
えーっと、どう言う… 」



瑠璃と鈴姫の話を聞き 急な展開に頭がついていかず、動揺を隠せない鈴蘭。

すると、鈴姫は捨てられた子犬のように眉毛を下げ鈴蘭に問いかける。



「お嫌…でしたか?
帰る場所がないとおっしゃっていたものですから 人探しなら何処か居住場所を決めておいた方がよろしいかと思いまして…
要らぬ世話でしょうか?
それとも 呼び方がお気にめされませんか?」



「い、いえ!!
全然 名前の呼び方は気にしてませんっ
確かにややこしくなりそうなので 好きに呼んでくださって結構です
ただ… 拠点にすると言いますとここに住むと言う事ですよね? そんな大袈裟にしなくて大丈夫ですよ
電話して すぐ見つけて帰りますから…」



――――――――――何だか複雑そうな香り漂ってるし
夢から早く覚めてほしいよ
嫌な予感バリバリする…




手をブンブン振り、否定をする鈴蘭。

そして、鈴姫に住む事の断りを言っている一方で頭の中は早く目を覚まして欲しい気持ちでいっぱいだ。
どうやら鈴蘭は此処を夢の中だと思っているらしい。




―――――――――それに この雰囲気って言うか空気…
感じたことがなくて落ち着かない








人間の本能と言うべきか 薄々感じているのであろう
ただ 知らない振りをして認めないようにしている

いや、誰だって認めたくはないだろう

此処が
〝何なのか″を――――…


 
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