舞い誇る華
「はっ?」
周りからみたら相当な間抜け面だろう。
鈴姫の言葉を聞き、思わず間の抜けた声を出してしまう鈴蘭。
それから、まさかの発言に鈴蘭は頭がついていけてない為言葉が出てこず、たださらっと可笑しな事を言った鈴姫を見るだけだった。
「ふふふ 面白い顔になってますよ 桜」
ふんわりと微笑み、態度を変えない鈴姫。
鈴蘭を見ても焦りもしない。
それに、鈴姫が嘘や冗談を言っている風には見えなかった。
「ちょっと… 元治元年って昔の年号じゃなかった?
てか、徳川って…江戸時代の…
あの? 有名な徳川家康?
んな バカな話っ…」
先程のような呟きに近い声ではなく、はっきりとした話し掛けるような声で言う。
独り言なのか、鈴姫の三人に話し掛けているのかは分からないが鈴蘭は口を動かしているうちに段々と青ざめていくのが分かる。
そんな 鈴蘭の様子を見て瑠璃と八手は最初の方こそ笑っていたが、ただ事ではない空気を感じとり困惑と心配の顔色をし始める2人。
ただ 一人、鈴姫だけは冷静に上座から3人の様子を見ていた。
―――――――――仮にここがあの子の〝言っている通りの場所″だとしよう そうしたら、目が覚めてから今この時まであたしが見て、体験した事の全部に…合点がいく
それならっ…辻褄が合ってしまう
………信じられないけど
何故か知らないが此処に来てから、やたらと有り得ない考えをしてしまう自分に苦汁を飲み干したような顔をする鈴蘭。
そんな自分の考えを、安易に否定できないのが何とも歯痒そうだった。