舞い誇る華
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明かりがついていない薄暗い部屋で鈴姫は白い着物を纏い 姿勢良く正座で月を眺める。
夜も更け
今は皆寝床についていて、鈴姫も寝るのかと思いきや部屋を見渡しても布団が見当たらない。
身動き一つせず ただじーっと月を眺める鈴姫。
そこへ
「失礼いたします
桜様と八手…さんは藤の間とその隣の部屋にお通ししました
かなり疲れていた御様子でしたのですぐにお休みになられました
それで…鈴様… その、そろそろ……」
浮かない顔の瑠璃が襖を少し開け 鈴姫に言う。
「……私(わたくし)は〝恵まれた環境″の中にいるんですよね…」
瑠璃はそう呟いた鈴姫の言葉を聞くと言葉を返さず、泣きそうな顔をして唇を強く噛む。
「………行きましょう」
鈴姫は 無言で顔を伏せている瑠璃の方を見て申し訳なさそうに微笑むと立ち上がる。
そして、月をもう一度見るとそのまま後ろを振り向かず瑠璃の元へと歩いていった。
その後ろ姿を 哀しそうに月が見てるかのように照らしていた―――‐‐。