舞い誇る華
「ぬしのかわええ坊や達は元気かえ?」
待宵は可笑しそうに目を細めると山南に問いかける。
「〝相変わらず″の方々ですよ…」
待宵の横まで来るとゆっくりと腰を下ろし正座する山南。
「そうかい… それは残念
当分、願いは叶いそうにないと言うことか…」
口角を少し上げどこか嬉しそうな声で言う待宵。
煙管を口から離して、息を吐く待宵の姿を見て山南は目を伏せ呟く。
「……そうでも無いですよ 」
山南のその言葉を聞くと待宵はゆっくりと顔を山南の方へと向ける。
「もしかしたら… 後少しで叶うかもしれません
そう遠くない未来に… 」
驚いたように目を大きくする待宵に、山南は儚げに微笑んだ。
そんな山南を見て待宵は少し俯き視線をそらせ呟く。
「………なら、わっちの願いも後少しで叶っちまうのか」
その口ぶりは とても叶ってほしくない、ひどく哀しい声だった。
隣に座っている待宵の姿を悲痛な面もちで見ると視線を月へとかえ、呟く山南。
「ええ… 叶えてさしあげれます 貴女の願い」