舞い誇る華
 

「…賢磨さんや稔麿さんがついてきてくれるなら心強いです 正直、ここの土地勘が全くなくて… ここが何処なのか分からないと 三人がどの辺にいるのか目星もつけられない…」


ここに来た時から所々違和感を感じ、奈月は一抹の不安を抱えていた。
みんな無事でいるのか、何処にいるのか、今すぐにでも探しに行きたい気持ちが押し寄せ奈月は焦燥感にかられる。


「土地勘が全くないって…
そりゃー…そうだろ
いや その前に俺の言ってる事理解できてるか?」


「? はい 一緒に探してくれるんですよね?
心配してくださってありがとうございます」


「あー…いや、お前…目出度い奴だな…」


やっぱりとでも言いたそうに呆れた顔を見せる賢磨。
奈月同様賢磨も、奈月とは少し違った違和感を感じていたようだ。

そんな賢磨に気付いていないのか奈月は首を傾げる。


「まあ、いいや
取り敢えず飯でも食おうぜ
せっかく温めたのに冷めちまう」

「あっ… でもまだ稔麿さんが来てないですよ?」


賢磨はそう言うといつの間にか美味しそうなご飯が並べられている、ちゃぶ台の前に座っていた。
だが、そう言われてもまだ一人欠けている事を伝えるとチラリと襖の方へと視線をやる奈月。


「気にするな
どうせまだゴロゴロしてるに決まってる
その内お腹空かせて起きてくるさ 真面目にあの人に合わせて食うの待ってると日が暮れて 人捜しなんて出来ねえぞ」


ふぅふぅとお椀に息を吹き冷ます動作をし、味噌汁を啜り流し込む賢磨に視線を戻すと奈月は誤解されがちな優しさに微笑みちゃぶ台の方へと近寄り


「はいっ
よろしくお願いします!!」


 
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