舞い誇る華
待ってましたと言わんばかりに飛び付くように沖田の着物を掴み雛菊は同意を求めるように口を開く。
「沖田さん! みんな酷いんですよ?!! あたしがいくら聞いても教えてくれないんです!! 〝そこ〟に行きたいとは思いますけど みんなにダメって言われたんで素直に言うこと聞きますよ? でもどんな所か教えてくれても良いと思いません?!」
「お、落ち着いて下さいっ
今の話しだと一体雛菊さんが知りたい場所が分かりませんよ?
何処なんですか?」
一気に捲し立てるように言う雛菊に若干圧される沖田は優しく問う。
「花街ですっ!!」
「か、がい…?……えっ?」
雛菊の言葉を聴いた瞬間、沖田は数秒固まり、焦ったように聞き返す。
「あっ! 嶋原って言った方が良いのかなー?」
「し、嶋原?! 雛菊さん何故その言葉を?」
顔を赤くさせたり青くさせたり忙しなく顔色を変え吃りだす沖田に、可愛らしく首を傾げながら待つ雛菊。
まるで、餌を待つ仔犬のようで
尻尾をフリフリさせている姿に見えなくもない。