舞い誇る華
事情が分かった沖田は話を甘味屋に戻し微笑むと、嶋原から甘味屋に興味を変えた雛菊と共に部屋から出て行きその後を慌てて原田が追いかけた。
あっという間に勝手に決めて出て行った沖田に土方は怒りを隠せない。
「…上手くかわしたな 総司の奴」
沖田の行動を見ていた永倉は呆れながら呟いた。
「おっ いたいた
雛たちがいないって事は無事許可が下りたんだなーぱっつあん」
「あっ おいっ!!」
何も知らない藤堂がやって来て辺りを見回しながら笑顔で言うと永倉は慌てて藤堂の口を塞ぐ。
「今 副長にその話は禁句だ」
小声で教える永倉に状況が飲み込めない藤堂はそっと土方の方を盗み見る。
「ひっ!!」
なっ とどす黒いオーラを纏い鬼の形相でこちらを睨み付けている土方を見て、永倉と怯えている藤堂は頷きあう。
「…藤堂」
「はいぃぃぃ!!!」
藤堂と呼ばれた訳でもない永倉は背筋をピンと伸ばし、土方の方へと視線を向ける。
「総司をけしかけたのはお前か?」
「け、けしかけたって
俺はただ山南さんと話をしてたら総司が副長を探してるって言うんで教えただけですよ」
慌てて答える藤堂を尻目に土方は眉間の皺をより深くした。
「…」