舞い誇る華
 

「副長…?」


考えている様子の土方に藤堂と永倉は首を傾げ困惑する。

「…お前らいつまで此処にいるつもりだ
もう用ねえなら戻れ」


顔を藤堂と永倉の方へと向けてそう言うと直ぐにまた向き直り煙管を吹かす。


「「…失礼しました」」


釈然としない様子で藤堂と永倉は土方にお辞儀をして部屋を後にした。




「どうしたんだろうな 副長…」

廊下を歩きながら、ポツリと呟く藤堂。

そんな藤堂の呟きを原田は隣で聞きつつも目線は前方から此方に向かって歩いて来る人影に気をとられていた。

漸く姿を捉えると片手を上げ、明るい声でその人物に話し掛ける。

「…おっ! 斎藤じゃねえか
戻ってたのか」


「ああ、 つい先刻な
今 副長に報告しに行く所だ」


原田と永倉の前まで来ると立ち止まり淡々と話す男【斎藤 一‐さいとう はじめ‐】


「ああー… 今は止しといた方が良い」

「とばっちり食らうかもしれないからな」


藤堂、永倉が交互に言い放つと顔を見合わせうんうんと頷き合う。

二人の様子に疑問を持ちつつも素直に助言を受ける斎藤。


「…なら 出直すか」

「ああ、その方がいい
そうだ! これから道場行かねえか? 久し振りなんだ
手合わせでもしよう」


「それは良い
だが まず腹ごしらえをさせてくれ
食べる間がなくて 腹が空いてるんだ」


 
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