舞い誇る華
「待って…!」
「まっ… お待ちくださいませっ!!」
無言で前に進む気品溢れる着物を纏う女性。
その歩き方は表情と違い雅やかだ。
そんな女性とは正反対に地味な着物を纏いドタバタ慌てて前方にいる女性を引き止めようと必死になる。
「お待ちくださいませ!!!蘇芳(すおう)様っ」
バーーーンッッ!!!
「蘇芳様…御早う御座います
如何なされたのですか?何かご用があれば「そなたは相も変わらずうちを愚弄しはる事が好きなようどすなあ」
豪華絢爛な襖の前まで来ると躊躇なく乱暴に開ける蘇芳と呼ばれた女性。
そして、部屋の中いるであろう人物を目に捉えると、気持ちとは裏腹に優雅に畳の上を進む。
そんな蘇芳に、いきなり襖がけたたましい音をたて開いた事に中にいた鈴姫達は驚き、固まるが直ぐに鈴姫は蘇芳に言葉を投げ掛けた。
「そんな…
その様なことは御座いませんわ
何か誤解されてらっしゃいませんか?」
「ふんっ
そなたの弁明などどうでもよろし
此度はそない話をしに来やはったわけやへん」
高飛車にそう言うと蔑むような目で鈴姫の方へと近寄ると、近くで朝食をとっている八手に視線を流す。
そして、見下すようにまた鈴姫へと視線を変えると口を開く。