舞い誇る華
「…八手さん?」
未だに難しい顔をして考え込んでいる八手に鈴蘭は呼び掛けた。
「へっ? あっ兄貴!
おはようございますっ いつの間にいらしてたんですか?」
考えに耽っていた八手は鈴蘭の声に間抜け面で返事をし、隣に座っている鈴蘭に心底驚く。
「今さっきなんですけど…
どうしたんですか? 難しい顔して考え込んで…」
「いや、何でもないっすよ
そんな事より今日一日どうしやす? お連れを捜すなら城下の方にでも行ってみますか?」
「えっ あー…そうだね
目立つ恰好だし…」
「…兄貴のお連れは派手な方なんですか?」
〝遠く離れた友を思う〟鈴蘭の言語に八手は一体どんな人物かと頭を働かす。
「う~ん… 派手と言えば派手かな?
…って そういやあの三人、髪と服装ヤバくないか?!
奈月に至ってはまんま外人じゃんっ」
何で気付かないかなーっと顔を青ざめ自問すると、急いで立ち上がり襖に手をかける。
茶髪や洋服を着るのが当たり前の時代に産まれた鈴蘭にとって今の状況が有り得ない。
加えて、鈴蘭は弓道衣姿に黒髪。不思議がられる事はあれど、奇怪な目や厳しい追及に合う事はなかった。
其れ故今まで違和感を感じる事があっても気付かなかったのは無理もないのだ。