舞い誇る華
遠くの方での男女のやり取りに昨日の事を思い出し、少し嫌味を言って八手の反応を窺う鈴蘭に八手はギクッと体を揺らし、居心地悪そうに話を変える。
「テメッ…
女だからって手え出されねえと思ったら大間違いだぞっ!!!」
とうとう怒りが頂点に達した男はバッと拳を振り上げた。
その成り行きに男連中は盛り上がり囃し立てる。
その展開に無論鈴蘭は黙って観ているはずもなく
「いっ!!!」
「ちょっ「おお!! 探したぜよっ
こがあ所に居たとはな~」
拳が女に当たる前に鈴蘭は所持していた銭入れを投げつけ見事男に命中するまでは良かったが その後、いきなり割って入ってきて男に親しげに話しかける剽軽そうな男が現れたのだ。
口振りからして男連中の知り合いかと思われたが
「…誰だ おめえ」
「あれ? 知らん顔じゃった
また人間違いやっちゅう 」
あっははは と豪快に笑う男。
完璧空気が読めていない。
「「「……」」」
「チッ 行くぞっ!」
空気が読めていない男の登場で気が削がれたのか男達は足早にその場を後にする。
その場に残ったのは拍子抜けした女と呆気にとられている鈴蘭達と剽軽そうな男。
鈴蘭は軽い頭痛を覚えながらも男と女に近寄り口を開く。
「あの あなたは…?」
「ん? おおっ
おまんさん すげえ別嬪さんじゃなー あっこれからわしと一緒に何処か行かんか?」
「行かんっ」
そう言い鈴蘭に詰め寄るとすかさず仏頂面の八手が代わりに断る。
「行きましょう!! 兄貴っ」
「えっ… ちょっと!」
そして、鈴蘭の腕を掴むと元来た道を引き返していく。
そんな二人を、別段慌てる訳でも驚く訳でもなくただ笑って見届ける男だった。
「なに 男じゃったか~残念☆
あっお嬢さんわしとこれから――」