舞い誇る華
「行かん!!
何だってそんなとこ行かなきゃ行けねえんだ」
「これは任務だ
嫌ならこっから出てけ」
不穏な空気が漂う一室。
瓜二つの顔が互いを睨み付けている。
その状況に苦笑いしつつ助け船を出す男、近藤。
「まーまー トシ
説明なしに行けと言われても何が何だかさっぱりだろう?
何 難しい事じゃないんだ
〝ある者″と共に町の見廻りをしてもらいたいんだ
藤くんにとっても悪い話ではないと思うが…
友を、捜しているのだろう?」
そう問いかけられ、藤歳はグッと苦虫を潰したような顔をする。
確かに一刻も早く鈴蘭と奈月を捜し見付けなければならない。
近藤に宥められ、次いでそんな事を言われれば二の句が告げなくなる藤歳だった。
「…分かったよ!
で?誰と行きゃあいいんだ?」
そう藤歳が乱暴に発したと同時にすっと静かに襖が開く。
襖が開いた事に気付くと近藤と藤歳は襖の方へと顔を向けると、目線の先にいる相手を見るなり藤歳は硬直した。