舞い誇る華
 


これには 常に感情を面に出さない男も目を見開き、一瞬戸惑いの顔色を隠せない。

だが、直ぐに脳みそで情況を整理して事態を飲み込み口を開いた。


「…何故 副長の影武者を?」


「誰が こんな奴の影武者だっ!!ざけんな!!!」


土方と藤歳を交互に見た後、土方に問い尋ねる男。
男の問いに対して藤歳は直ぐ様反応し男に向かって否定の言葉を叫んだ。


「影武者か… 良い案だな 斎藤」

「てめえー! ざけんじゃねえぞ 誰がてめえなんかの身代わりになるかよっ!!」


「お前に拒否権はない
何度言えば解るんだ」


呆れたように言う土方に藤歳はキレる寸前だったが近藤の制止がかかる。


「トシ! その辺にしないか
斎藤 今から彼、春日藤歳くんと供に見廻りに行ってきてほしいんだ」


「…供に、ですか?」


顔には出さないが、困惑している斎藤に労いつつも有無を言わせない圧力をかける山南。


「帰ってきて早々で悪いけど
お願い出来るかい?」


「…承知致しました」

「…」



納得いってない斎藤に続いて、藤歳も無言で小さく頷く。


「では 藤くん、斎藤、頼んだぞ」


 
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