舞い誇る華
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って 頼まれてもなあ!! 第一見廻りってなんだよっ
そんなん言われるまで無縁な生活だったんだかな!!寧ろ逆だし!
心の中で先程までのやり取りを思い出し、ぶつくさと考えていると何やら前方から賑やかな声が聴こえてきた。
「…何だ?」
「何者かが騒いでいる様子だな…女子を口説いているようだ」
「お前 アレ見えんのか?」
藤歳が驚いたように斎藤に投げ掛ける。
無理もないだろう。
決して藤歳の視力が悪いわけではない。
寧ろ良い方なのだが、此所から喧騒な場所まではやっと声が聴こえると言う距離で人が何をしているか判別するのにはボンヤリとしか見えない。
「…お前、見えぬのか?」
「…あ゛?」
斎藤の問いに、一気に眉間を険しくさせた藤歳。
「…まあ良い 行くぞ」
藤歳の様子を一瞥すると斎藤は前方へと歩みを進めた。
「――が―って―じゃん」
「そ――ろ―じゃ」
近付くにつれ徐々に大きくなってくる声。
それと共に見覚えのある姿が飛び込んでくる。