舞い誇る華
雛菊をチラリと見ると片眉を上げ、怪訝そうに視線を沖田へと送る斎藤。
「今日は非番だから 久し振りに甘味でも食べに行こうと思ってね
たまに糖分を摂らないと土方さんみたいなガッチガチの頭でっかちになっちゃいますから」
沖田は斎藤の言わんとする事に気付いているが敢えて核心に触れず、笑顔で説明する。
「…お二人は 見廻りですか?
意外な組み合わせで其れだけでも驚きですが まさかこんな処で会うなんて思ってもみませんでしたよ」
「確かに
まあ この女子(おなご)が騒いでいなければ気付かなかったがな」
「雛菊さんが…?」
沖田の説明に怪訝そうな顔をする斎藤。
その後、斎藤は沖田の言葉に同意するように頷くと雛菊の方に顔を向けた。
「こいつ男にナンパ…じゃなくて口説かれててそれでバカデカイ声で言い争ってたんだよ」
アホくさ っとボソッと呟く藤歳に雛菊はムッとしながら餡蜜を口に入れると沖田に説明をし出す。
「違いますよ? ただ話し掛けられたので話してただけです 」
窺うように沖田に弁明する雛菊を見て沖田は笑いを溢す。
その一部始終を見ていた斎藤は驚きを隠せない。
「あっ…おい!」
そんな自分の表情を見られないように斎藤は沖田に一礼をするとその場を去る。