舞い誇る華
鈴蘭に問い掛けられた瑠璃は、辺りをキョロキョロ見回し部屋の中へ入り襖を閉めると、鈴蘭に詰め寄るように近付いた。
そんな瑠璃の行動に若干仰け反る鈴蘭。
「実は…桜様に折り入ってお頼み申し上げたい事が御座いまして…」
「頼み…?」
「はい
桜様は御友人をお捜しですよね?」
「うん…まあ…
それがどうしたの?」
今更な確認をされ、鈴蘭は全く意図が掴めず首を傾げ肯定する。
思い詰めた表情をしている瑠璃だが、鈴蘭の問い掛けに意を決して口を開いた。
「…実は、〝ある御方″を捜して頂きたいのです」
「〝ある御方″…?」
瑠璃の口から意外な言葉を訊き、目を真ん丸にさせる鈴蘭。
まさか、人捜しを頼まれるとは思わなかったのだ。
「はい… 散薬の行商をされている御方で
あっ勿論、御友人の方を優先させて頂いて構いませんので」
――さんやくのぎょうしょう?
何だ? 薬の売り歩きって事か?
本来の鈴蘭ならば、直ぐに二つ返事で承諾するだろうが、知らない土地でしかも馴染みの無い人を捜すとなると簡単に首を縦に振れない鈴蘭だった。
「うーん… その人ってどんな人?」