舞い誇る華
「その、…私も詳しくは存じ上げないのですが…その男性の御歳は…恐らく今は、二十…七、八歳かと」
歯切れが悪く、朧気に言う瑠璃に鈴蘭は疑問が湧く。
「その、行商の人って瑠璃の知り合いじゃないの?」
鈴蘭は目をぱちくりさせ、疑問を口にすると、やはり指摘されることを予想していた瑠璃は、顔を曇らせる。
「違います…
私は直接お話した事もお逢いした事も御座いません
ただ、遠目から拝見した事があるだけで御座います」
「…瑠璃の捜し人、女性かと思ってたんだけど
男性なんだよね? その人は瑠璃の好き…想い人なの?」
「めっめめめめめ滅相も御座いません!!
その御方はっ……〝ある御方〟の〝大切な御方〟だと、少なくとも瑠璃は思っております」
顔を青くさせ慌てて否定する瑠璃を見て本当の事なんだなっと鈴蘭は納得した。
それと同時に瑠璃の言っている〝ある御方〟の顔が脳裏を掠める。
「…じゃあ、瑠璃はその〝ある御方〟に捜すよう頼まれたって訳?」
「違います
その様な事、誰からも頼まれていません
この事は瑠璃の独断に御座います
無論、瑠璃がこの様な事をしているとはあの御方は御存知ありません」