舞い誇る華
その横に、青年より少し高い身長で心配そうな顔でこちらを見ている、長い黒髪を耳の下あたりで一本に結わいている男性がいた。
「あ、あのー… あたし…よく覚えてなくて、その」
口を開いてみたはいいが、頭の中が混乱していて何から聞けばいいのか考えていたあたし。そんなあたしを助けるかのように男性の方が口を開いた。
「沖田君 彼女に事の成り行きを説明するのを頼んでもいいかな? 彼女を発見した君なら詳しく話せるだろうし 」
「分かりました。山南さん」
「私は 近藤さんと土方君に彼女が目を覚ましたことを知らせてくるから それじゃあ、頼んだよ」
男性は、美青年にそう言うとあたしの方を見てふんわりと微笑み襖を閉めた。
部屋にいるのは、あたしと美青年の2人だけ。
美青年は そっと近寄り布団の横で正座をした。
「沖田 総司と申します 貴女の名前を教えてもらえませんか?」
にっこり 微笑んで聞いてくる美青年… 沖田が言った。
「……ありあけ…有明 雛菊といいます」
「かわいらしい名前ですね 雛菊さん…とお呼びしてもいいですか?」
「は、はい! どうぞ」
かああ っと頬が少し赤くなる雛菊。
――あたしのばかっ! 名前がかわいいって言われてるだけだからっ! 赤くなるなっ でも、その顔(笑顔つき)にその台詞は反則だよぉぉ……
等と、男に免疫がない雛菊が思っていると沖田は話を切り出した。