舞い誇る華
強気な態度をとっているものの逃げ腰になっている瑠璃に、次第に苛立ちを覚える八手。
「解んねえ、だと?
だとしたら てめえは産まれてからずっとそんな誰彼構わず人を軽蔑したよな眼で見てたのかよ!! お前、そんな立派な人間様か?!
人を馬鹿にしやがってっ…」
今までの瑠璃の態度に積もりに積もっていた憤りが爆発し、声を荒げる八手。
「……ぃよ」
「あ゛?」
ビクリと肩を揺らし、絞り出すような声を出す瑠璃に八手はとうとう泣き出したかと嘲笑すると言葉を促す。
次に瑠璃の悔しそうな泣き声が響き渡ると予想する八手。
「ふざけないでよっ!
何故そんな勝手な事が言えるのよ!」
だが、響き渡ったのは八手の怒声に負けず劣らない瑠璃の怒声。
瑠璃にも溜まりに溜まったものがあったのだった。
「馬鹿にしやがって?貴方の方がよっぽど馬鹿にしてるわ!
何故何事も無かったように振る舞えるのですか?!
自分がした事忘れたとでも言うの!?
そんな事っ絶対に言わせない!
私があの時どんな思いだったか…!」
「っ!」
八手は瑠璃の怒声に落ち着きを取り戻す。
よくよく見てみると、睨みを利かせている瞳は涙目で、両手に抱える様に持っている白い包み紙を力強く握り締め、身体を小刻みに震えさせていた。
傲慢女っと決め付けていた八手は瑠璃に対してなんて浅はかな言動をしていたのかと、自分を羞恥する。