舞い誇る華
 


「解らないわよね?貴方には
人気のない処で男に囲まれて 女と言うだけで犯されそうになって殺されかける私の気持ちなんかっ
力で捩じ伏せようとする側の男にはっ…貴方にはっ!」


声を荒げ興奮する瑠璃に反比例する様に八手の頭と心臓が冷えていく。

八手は無言で瑠璃の言葉を受け止め、瑠璃と初めて会った日の事を思い出す。


―――――――ああ、そうだ… そうだよな


直接手を下そうとしてなくても、近くに居て助け出そうともせずに、ただ、無心で突っ立って成り行きを…経過を見ている。

それだけでも罪で相手にしてみれば恐怖の対象になる。


細かく思い出してみると、普通に言葉を交わしているつもりでいたが瑠璃は常に距離を取っており、いつも鈴姫や鈴蘭のどちらかが傍らにいて決して二人きりになったり話しをした事がなかった。

そう。
あれらは小馬鹿にして距離を取っていたと言うより、脅えて距離を取っていたという言い方が合っている。


誰が自分に手を掛けようとした男の仲間と仲良く出来よう。

なのに、馴れ馴れしく話しかけて無神経に近寄っていた。

八手は漸く己がどれだれ瑠璃に軽率な事をして、心の傷を広げていたのか気付き、自己嫌悪に陥るのだった。


 
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