舞い誇る華
その言葉に今度は雛菊が固まる番だった。



「えっと… 携帯なんですけどー… 携帯電話 聞いた事ありますよね?? 雑誌やテレビにも出てますし…」


目をパチパチさせながら聞くが、沖田もまた目をパチパチさせながら首を横に振る。



「聞いた事ねえな そんな言葉   一体てめえは何なんだ? その髪色に着物… 異人じゃねえか 」



沖田とは違うハスキーな声がし、雛菊と沖田は襖の方を見る。


そこには、煙管(きせる)をくわえて襖に寄り掛かるやや伸び気味の黒髪の男性に困った顔をしている顎髭をはやしている男性と先程いた、山南という男性がいた。



「土方さん…」


沖田がそう呟くと煙管をくわえた男…土方が近寄り雛菊を見る。



「答えろっ もしくは長州の回し者か?」


切れ長の目を細め、低い声で聞いてくる土方に辺りは しーん っとなり静かに事の成り行きを見守る。

そんな空気の中雛菊は、口に手をあて肩を震わせる。
泣いているのか 周りの者がそう思った時、




「ぷっ あははははははっ」





雛菊は堪え切れず声を上げ笑い出したのだ…。
肩を震わせていたのは泣いていたのではなく笑いを堪えていたらしい。


その、突然の笑いに一同は唖然としていた。

 
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