舞い誇る華
スパーーーンッッッ!!!!
っと小気味良い音で障子が開き体格の良い男が現れたと思ったら次々に男達が集まって来た。
「よーしっ 間に合った!! さあ、大人しく尾縄につけえいぃぃ この偽土方めっ!!!!」
っと体格の良い男が喋りだし自信満々に ビシッ っと黒髪にくわえていた煙管を握り潰している、土方を指さす。
その言葉に有り得ないくらい眉間に皺をよせてこめかみにも青筋がたち、フルフルと全身を震わせて、手に握っている煙管はもはや原形を留めておらず、ポロポロとクズが畳の上に落ちていった。
「ちょっ よく見てっ!! あれ本物の副長だから!!! 偽者は こっちだからっ!!!」
体格の良い男に慌てて駆け寄り、怒り狂う土方の少しななめ後ろを指さした幼い顔立ちの男。
だが、周りはざわざわ、ざわめき出し指をさされた2人を見比べる。
そして、わなわなと口を震わせ雛菊は土方とある男を交互に指さし叫ぶ。
「ふっふふふふ藤歳が2人いるぅぅぅ?!!!」
雛菊が叫ぶのも無理はない。
顔立ち・体格・身長 違うのは髪の色くらいで、後はまさに瓜二つ。 当の本人達も互いを見て口をあんぐりあけているくらいだ。
「ど、ドッペルゲンガーー…」
その雛菊の呟きに藤歳は ハッっとし、ようやくこの部屋に雛菊がいることを認識した。
「雛菊っ?!!お前どうして……」
土方と藤歳を見ていた者もその言葉に反応し、今度は藤歳と雛菊を見て囁き合う。
「おいっ あいつ等一体誰なんだ?」
「異人だよな どうやって入りこんだんだ?」
「っ《パンパン》
自分達の事を見て囁き合う周りに耐えられず口を開こうとした藤歳だが、後ろから手を叩く音がした。
あたりは、しーんっとなりその場にいた者は手を叩いた顎髭の男を見る。
「永倉、原田、藤堂、お前達は 此処に残り事情を話してくれ 他の者は各自持ち場に戻るように」
男の言葉に何も言えなくなり、先程から部屋にいた雛菊達と名前を呼ばれた者以外はぞろぞろと部屋を出て行った。