舞い誇る華
「大人しくしていれば 痛い目見ずにすむぞ」


先程の永倉とのやり取りとは一変して、睨むように藤歳を見る原田が言う。


「チッ 」


その様子に思わず舌打ちし 負けじと睨み返す藤歳。



両者一歩も引かずしばし睨み合いが続く。




「やあああーー!!!!」


藤歳の背後にいた者が竹刀を振り下ろした。



「…………っ」



ダーーンッ!!!

カランカランッ……


「っ!!!」

「おいっ!」


だが、竹刀は藤歳に当たる事なく宙を舞い落ち、後ろにいた者は尻餅をつく。

振り落とされる気配を感じた藤歳はしゃがんだ体制で後ろにいる者の足を引っ掛けたのだ。


「さっすが…  副長……」


そう言った原田の後頭部を バシッと叩く永倉。


「ちげえだろっ!!!! こいつは副長じゃねえ!!  ……………よな?」



その藤歳の動きを見た周りの者達も、一瞬ポカンとするがすぐ我に返り一斉に藤歳に飛びかかる。



藤歳は焦る様子もなく次々に襲い掛かってくる者を背負い投げ等、技をかけ扉に向かい逃走。



「追え 追え!!!!」




道場には 馬鹿でかい声がいくつも飛び交う。



「副長の顔だけど副長じゃないの??副長じゃないけど副長なの?」

「あれ?ちょっと待て、あの顔は確かに副長…でも捕まえるべきだ…… はれ?副長を捕まえていいのか??」



…………皆、藤歳を捕縛するため追いかけ始めるが約2名、原田と永倉は向かいあい ブツブツ言い合っていた。





「ふざけんなっ まともに相手してられっか!!!! こっちは 昼抜きに走り回って体力消耗してんだよ!!!!」



本音を ポロッと言い外への出口を探す為、次々に襖を開けながら猛スピードで走る藤歳。





そんなかんじで、闇雲に走って襖を開けていたためいつの間にか雛菊達のいる部屋へとたどり着いたのだ。
 
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