舞い誇る華
「あのっ もしかして…知らなかったんですか??」
固まっている2人に原田の勘違いを指摘した大人しそうな男が おずおず と聞いてきた。
「………知らないもなにも …… 新撰組って… 」
「雛っ! 撮影じゃねえか? ドラマとか だったらとっとと出ようぜっ 俺らは邪魔になるからな」
真剣な顔付きをした雛菊が聞き返すと、藤歳が思い付いたように話す。
「あっ そっか!そうだよね お邪魔してすいません すぐに帰りますんで」
藤歳の言葉に頷いて2人はこの部屋から立ち去ろうと立ち上がるが、すっ っと ひんやりとした冷たいものが首にあてがわれた。
「誰が帰って良いと言った さっきから意味の分からないことばかり言いやがってふざけるなっ」
「てめえこそ ざけんなっ! 邪魔して悪かったってこっちは言ってんだぜ? 素直に帰らせろっ 撮影かなんか知らねえが玩具を振りまわ っ……!」
「ふじ……とし……」
つーっと藤歳の手の平から赤い液体が流れる。
雛菊の首に宛てがわれている刀を藤歳が 握ったのだ。 それは紛れも無い人の血。
訳が分からなくなり顔が真っ青になる雛菊に呆然とする藤歳。
そんな光景を土方はニヤリと笑い馬鹿にしたように言う。
「この時代に玩具の刀を持ち歩くわけねえだろ 切れなきゃ…………殺られるだけだ」
すっと顔から笑みが消え他の者も無表情に睨み付ける。
「じ、じゅ 銃刀法違反だああーーー!!!! ふ、藤歳っ 警察に電話!!」
雛菊が口に手をあて刀を指さし声を上げた。