舞い誇る華
バンッ!!!!!
いきなり 藤歳は障子を開け辺りを見回した。
大人しく聞いていたと思ったらそんな、いきなりの行動をされ一同は呆気にとられる。
「ちょっ どうしたの?!! ふ「やっぱり… 無い…」
「無いって… 何が?」
怪訝そうに雛菊は藤歳に聞く。
藤歳は振り返りゆっくり口を開いた。
「……電線…」
ハッ っとし雛菊も障子から外を見回す。
「本当だ……」
本来なら絡まりそうなくらい、無数の線が空中に張り巡らされているはず。
だが、何処を見ても目を凝らして見ても無数の線、おまけに線と線を結ぶ柱もない。
藤歳や雛菊にとって
〝あるべき物が無くなっていた″のだ。
「いくら田舎でも電柱くらいはあるはずだ… それに、俺達の住んでいた所はこんな田舎じゃねえだろ」
雛菊はこくん と頷く。
「訳わかんねえ… そう考えるとこいつらが言ってた事の方が辻褄が合う…」
信じたくねえがな ボソッと最後に呟いた藤歳。
黙り込んでいた雛菊が急に振り返る。
物凄い勢いで振り返った雛菊に隣にいた藤歳はビクッ とした。
「初めましてっ
有明 雛菊と言います! 松花尊高校2年 17歳
園芸部所属 趣味は花の観察 嫌いな事は
勉強で得に地理や歴史ですっ
因みに花の歴史に関しては別です!」
いきなり 自己紹介しだした雛菊にこれまた呆気にとられる一同。
「おいっ ひな「それでも これだけは知ってますっ!」
「今、この時代は 〝徳川幕府″が国を…日本を動かしてるんですよね?」
真剣な顔付きで恐る恐るっと言ったような喋り方で聞く雛菊。
その問いに皆、顎髭の男の方を見る。
そして ゆっくりと口を開く。
「……ああ、 今は 将軍【徳川 家茂‐とくがわ いえもち‐】公である」