舞い誇る華
 
はい っと頷く奈月。


「お前… 今〝しょうかそん″って言わなかったか?」



「えっ ええ… 松花尊高校と言いましたが… ご存知ですか?」


奈月のその言葉に、いままで興味なさ気に背を向けていた稔麿が急に振り向き地を這うような声で聞いてきた。


そんな稔麿に驚きながらも答える奈月。



だが、桂と晋作は得に驚いた様子もなく稔麿と奈月を見る。


「あの どうかしましっ「お前…… もしかして………」



縁側の側にいた稔麿は奈月の方へと戻り胸倉を掴み鋭い目付きで何かを言おうとしていた。


いきなり見知らぬ人物に胸倉を掴まれ訳が分からない奈月。


「おいっ 稔麿やめとけ」


「いっ」


晋作の言葉で稔麿は言いかけた言葉を飲み込み掴んでいた胸倉を離した。
いきなりの事で勢いよく後ろによろけた奈月だった。



「何をそんなに苛々している? 」


すれ違いざま、桂に言われた言葉に稔麿は瞳を揺らした。
だが、すぐに桂を睨む。


「あんたに関係ある?」


好戦的な態度の稔麿を無表情で見つめる桂。


「そんな調子では見えるものも見えなくなるぞ」


暫くの間、睨み合う2人。
睨み合うと言っても稔麿が一方的に睨んでいるだけだが。






そして

「晋作ー その異人家に入れといて」



先に口を開いた稔麿は桂の目を逸らさず後ろにいる晋作に話しかける。



  
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