舞い誇る華
 

「はあ?!!!! 正気か?! 稔麿」


「正気だけど 別に誰を入れようが人の勝手でしょ? わざわざ晋作に許可でも必要なの?」


そう言うと怠そうに歩き出す稔麿。


「って どこ行くんだよ?」


今度は何をする気なのか心配になり晋作は思わず声が大きくなる。



「何処って 厠だよ
何か文句あんの?いちいち五月蝿い男だね
人が動く度に何をするか聞かないと落ち着かない訳?煩わしい」



うざったそうに晋作を見て毒を吐く稔麿。


カチンっときたのか晋作が稔麿に向かって何か言っているが聞こえないふりをしている稔麿。




「稔麿」



桂に名前を呼ばれ稔麿は歩みを止めた。 振り向かず背を向けたままだ。







「己を…見失うなよ」







その言葉を聞いて〝動揺″しているのか、口を開く事なく前を見据えている稔麿。

そして返事をせずそのまま歩き始めたのだった。



 
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