舞い誇る華
「何か珍しい物でも?」
部屋に通された奈月に座るように言うと桂は部屋を出て行った。
奈月は通された部屋をキョロキョロと見ていたら、その場面を目撃したらしく桂は声をかけてきた。
「いえっ すいません
キョロキョロと……」
「べっつにぃ~ 異国から来たんならここは珍しい物ばかりじゃないの?」
「異国……?」
桂の後ろからひょっこりと現れた稔麿は襖を全開にしズカズカと中に入ると畳の上に胡座をかいて座った。
「そう 異国から来たんだろう? その髪に着物、日本人とは思えない顔……ここらじゃ見たことないしね あんた 名前は?」
「先程 名乗っていたではないか…」
稔麿が名前を聞くと桂は呆れたように言い襖を閉めて正座をする。
確かに 奈月は稔麿が厠に行く前に名のっている。
が、奈月はそんな稔麿の態度に嫌な顔一つせずもう一度名前を名のった。
「奈月です
奈月・T・アルストロメリア って言います」
「ふ~ん…」
自分から聞いておいて興味なさげな稔麿であった。
「私は 【桂 小五郎‐かつら こごろう‐】
隣にいるのは【吉田 稔麿‐よしだ としまろ‐】
そして 先程帰ったのが【高杉 晋作‐たかすぎ しんさく‐】 と申す」
「桂さんと吉田さん……」