舞い誇る華
「奈月」
「は、はいっ」
堪えすぎたのか目に涙を浮かべ苦しそうに返事をした。
「気付いたらここにいた …っと言っていたな それでは行き場所がないのだろう?」
稔麿は奈月に睨みは効かないと分かったのか襖を睨みつけ苛々していた。
「あっ……」
そう言われてみればそうだ
目が覚めたら知らない人様の家の庭で寝ていて…
ここが何処なのかも分からない
さっき家に上がらせてもらう前グルリと辺りを見回したが見たこともない所で木々に囲まれていた。
でも… 何となく自分達がいた所よりも〝遠い〟場所なんだと思う
確信はない
ただ…直感的にオーラと言うか 雰囲気が違う気がした
黙りこくった奈月を見て桂は口を開く。
「その様子だとそうらしいな
なら ここに暫く泊まればいい」
「はああああ?!!」
その言葉に1番驚いたのは稔麿だった。
さっきまで襖を睨みつけ桂と奈月の会話を流していたが 今の桂の言葉は聞き捨てならなかったらしい。